第8話
ーホムンクルスのチカラー
シオン
「桜はどうだ。きれいだろ」
「少しゆっくりして行こう。食べ物もあるしな」
ひより
「花見なんて小さい時、少し記憶にあるくらいだ」
花織
「景色を見て・・・こんな風に感じたことがない」
この時、花織の表情を見てわかった。魂が体に馴染むという意味。
ホムンクルスに移った時は完全に心がないような話し方だったのに、今は幼く感じる。表情、感情も出てきた。本当の人間に生まれかわったみたいに感じる。
シオン
「ほら、弁当だ。遠慮なく食えよ」
ひより
「すごい。これは誰が作ってくれたんですか?」
シオン
「俺だ!」
シオンさんは料理ができる男だった。
早起きして作ってくれたんだな。

僕と花織は花見を楽しんだ。花織は飲み物を警戒している。僕の表情を伺いながら少しずつ飲んでいた。きっとまた炭酸だと思ったのかな。
なんか悪いことしたな。
それから、、、
シオンさんの料理は最高だった。今度教えてもらおうかな。
シオン
「お腹も落ち着いてきたな。そろそろ運動の時間だ。お前たち、今から山に登るぞ」
ひより
「山って、、、この山ですか?」
シオン
「そうだ。今から登るぞ!!」
桜も所々に咲いているけど、かなり険しい山だ。
シオン
「お前たちは俺の登るスピードについて来れるかな?」
シオンさん、、、やる気まんまんだ。自信あるんだろうなあ。準備を進めていたシオンさんがライフルを用意していた。
ひより
「ライフルがいるんですか?」
シオン
「念のためな。この山は大きな動物と遭遇することがあるんだ。稀だけどな」
僕たちは何故か山を登ることになった。シオンさんは凄いスピードで登っていく。かなりのスピードなのに、ついて行けてる。ほとんど体の疲れがない。花織も平気でついてくる。
シオン
(どういうことだ。あいつら簡単についてきやがる)
「おい!お前ら!無理はしなくていいぞ。ペースが早かったら合わせるから言うんだぞ!」
ひより
「はい!でも疲れはありません。だいじょうぶです!」
シオン(なんだとー。くそ!! 計算違ったな)
花織
「ひより、私たちは何故、山に登っているの?」
ひより
「シオンさんには色々考えがあるんだよ、、、多分」
花織
「・・・・・・・」
花織
「この体、まだまだ余裕がありそうよ。試してみない?」
ひより
「そうなの?よく分からないけど・・・」
花織
「私の言う通りにしてみて」
シオン
「ん?二人とも止まって何話しているんだ?やっと疲れてきたかな」
(ちょっと安心したぞ)
僕は花織のアドバイスを聞いた。体を動かす事に集中して思い切り走った。
凄い・・・
足場が悪くても、岩がゴツゴツしていても飛び越えられる。地面を蹴ると伝わってくる。まだまだ余裕がある。これがこの体のチカラ!?
シオンさんを簡単に抜いてしまった。
花織
「ね!簡単でしょ」
花織が微笑んでいる。
狙ってやったのかは分からないけど、シオンさんの面目丸つぶれだ。
シオン
「お疲れさん!お前らには負けたよ」
やっぱりシオンさんの元気がない。
花織
「この体には人より優れたチカラがある」
シオン
「ホムンクルスは普通の人間と同じように作ったはずだ。これはイレギュラーだよ。そもそも魂が宿って動き出した事がもうイレギュラーだったけどな」
ひより
「シオンさんを追い抜いた時の顔、印象的でした」
シオン
「お前!結構イジワルだよな」
花織
「そう!ひよりはイジワルなの」
ひより「違いますって!!」
花織「クスクス、、、ははは」
花織が大きな声で笑ってくれた。すごくかわいかった。
僕はこの笑顔を大切にしたいと思った。
その時!!
シオンさんがライフルを構えた!!
ザザッ ザザッ カチャッ!! カチャ!!
囲まれた。
ライフルを持った人達に。

ライフルを持った部隊
???
「その少女を引き渡せ」
シオン
「どこの部隊だ?この子をどうするつもりだ?」
???
「言うつもりはない。さあ、こっちへ来い!!」
シオン
「くっそ、、、」
???
「こっちへ来ないなら、そっちの少年を撃つぞ!!」
花織
「・・・・・・・」
花織がゆっくり歩き出した。どうしたら良いか分からない!何とかしないと!!シオンさんもこんなに囲まれていたら動けない。どうする、、、
???
「よし!少女確保!撤収!!」
シオン
「待て!お前たちは何者だ?」
隊員の一人がシオンさんに銃を向けた!ダメだ!!シオンさんが撃たれる!!
その時!!花織が銃を持った人に飛び掛かった!
そして、、、花織に銃が向けられた!
花織が撃たれる!?
ー花織の笑顔が頭をよぎるー
やめろーーーー!!!!!!

その瞬間・・・
何かが起こった!!
ライフルに雷のようなものが走った!!
隊員たちのヘルメット、ゴーグルにヒビが入った!!
???
「なんだと!?くそ!!ライフルが使えない!!撤退する!!」
シオン
「なんだ?俺のライフルは使えそうだな。ひより!無事か?」
ひより
「はい!!何とか」
花織が戻ってきた。
花織
「ひより!!だいじょうぶ?今のチカラはひより?」
ひより
「分からない。花織が撃たれると思った瞬間、花織の笑顔が浮かんで・・・叫んだらあんなことに。花織、、、無事でよかった!!」
花織
「ありがとう」
シオン
「待て!!」
隊員の一人が振り返りヘルメットを取った。

シオン「!!」
「トシ? トシか!!」
トシ
「そうだ。久しぶりだなシオン。悪いが何も話す気はない。上からの命令だったんでな」
「じゃーな」
そのまま銃を下ろし隊員は撤収して行った。
シオン
「あいつ・・・」
つづく
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