第14話
ー意志を継ぐー
ミコトさんの表情が希望に満ちている。
僕はこの時、元の体に戻る目的を忘れていて、只々「ミコトさんのチカラになりたい」と思っていた。
ミコト
「少し、シオンの研究について話そうか。私が話したことはシオンには内緒だよ!」
「まず、あのホムンクルスを使った研究はヒロシって人が考えたんだ。シオンの大先輩だ。元々宇宙の謎を解き明かすヒントになるかもしれないってことで始めようとしたんだけど、人道に反するってことで許可が出なくてね。中々進めなかった。理論上は可能って分かっていたんだよ。歴史の中でアカシックレコードに触れることができる人間が稀にいたからね。でも、結局実用には至らなかった」
「で、そのヒロシって人が勝手に装置を作り実験を始めたのさ。何年も見つからないように・・・。そして技術の革新とも言えるような情報をホムンクルスから引き出すことに成功した。ヒロシはその実験結果を持って上層部に報告。研究が承認されると自信満々でね。でもこの時は、勝手に実験をしたということで処罰され1年間の拘禁刑となった。実験も中止された」
「ここからがホント色々あってね。表向きは実験中止だったけど、裏では引き継がれていて上層部の私利私欲で研究が進められていた。まあ当然だよね。すごい情報が引き出せる手段が手に入ったんだから。ところが、引き継いだ研究者がカスばっかりだったのか失敗続きでね。何の成果も出なかった。そんな時に星の異変が始まり、研究は星を救うことが最優先となった。直ぐにヒロシが釈放され研究は再スタートした。ヒロシは凄かったよ。有力な情報が少しずつ引き出され皆が星を救えると希望に満ちていった」

「でも、そんな時にヒロシの娘さんが亡くなってね。まだ10才、病気だったらしいんだけど、ヒロシは絶望して研究も止めてしまった。周りもシオンも何度も説得したんだけど、もう研究をする意味がなくなったと言って自宅に引きこもってしまった。母親も早くに亡くなっていたから、ヒロシにとって娘がただ一人の家族。誰もが気持ちを分かってしまってね、必要以上には戻って来いと言えなかった。それでシオンが研究を引き継いだってわけだ」
ひより
「そんな事があったんですね。辛い話です。ヒロシさんは今も自宅で過ごしているんですか?」
ミコト
「いや、どこか静かな所で過ごすと言って引っ越して行った。今はどこに住んでいるか、元気で過ごしているかも分からないよ」
花織
「ヒロシはホムンクルスの実験で何かを見つけたんだと思う。他の研究者には言えないような。でなければ同じシステムを使って成果に差が出るような物じゃない」
ミコト
「それは私には分からないけど、シオンも何かに気づいているような気がするよ」
「まあ私はあの研究は好きじゃないから興味ないね、、、と言いたいところだったけど今回のユグドラシルの記憶、、、これは無視できないな。私の自慢の技術力も行き詰っていたからね」
「何か分かったら教えてほしい。私もシオンと同じで君たちに協力するからさ。何も分からないなら、それはそれで、自分たちで最後まであがきまくってやるよ」
花織
「可能性はある。私は疑似魂でこの体に入った。ホムンクルスが持つ潜在能力を完全に引き出せない。でも、ひよりは本物の人の魂。時間が経つにつれて魂が定着すれば、記憶を自由に引き出せるかもしれない」

ひより「僕の中に、この星を救える手段が眠っているかもしれないってこと?」
つづく
第15話を書いたらここに貼りますね↓↓↓


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